ダルマさんとにらめっこ

燃え盛る炎の中に放り込まれるダルマたち。

 

そう、昨年頑張って両目が入ったダルマさん達が

目出度く御役御免で供養されているのだ。

 

炎で顔が熱くなるのも、目が乾いて閉じれなくなるのも忘れて

じっと見入る。

 

めらめらと燃えてゆくダルマとにらめっこしながら

自分の腹わたから取り出してこの火の中に放り込みたいものが

あるのに気がついた。

 

「思い込み」

 

いちばん厄介で消し去りたい私の中の負の産物だ。

 

過去の記憶の中で刷り込まれた

削除したはずの不要なデータに付随して湧き上がってくる。

 

カッとなって思わず反論したい時、

思いもよらない言葉に凹む時、

コミュニケーションがうまくとれない時、

自分がみじめに思える時。

そんな時に条件反射で頭をよぎる

自尊心の裏返し、防衛本能のすり替え・・

 

こうでなくては、

こうあるはずだ、

私はわたし、

しょせんこんなもの、

どうせそうだろう、

私さえ我慢すれば・・

 

支離滅裂で本当の自分はどこへやら。

 

ダルマさんとにらめっこをしながら考える。

 

そうか、なるほどね、そういう考えもあるんだね、

ちょっと待てよ、私は何のルールに縛られてる?

私の常識はあの人にとっても常識か?

 

こんな問いかけを自分にしながら

去年の小さなダルマを

炎めがけて思いっきり投げこんだ。

 

今年は一回り大きなダルマを買って帰ろう。