真水より泥水

青梅には吹上しょうぶ公園という6月には見事な菖蒲で彩られる公園があります。

 

もう咲いているかと散歩がてら訪れてみると、勢い余って咲いてしまった感の

菖蒲が一列、二列・・

まだ少々早かったようです。

 

それでもところ狭しと飛び回ってはさえずるウグイスの声が菖蒲園を囲む山々に

反響して、彼にとっては格好のコンサートホールとなっていました。

 

その入口の沼地に咲き始めていた蓮の花。

 

泥水が泥水であるほど大輪の花を咲かせると言います。

 

人間界と同じじゃありませんか。

 

泥水の中を無呼吸泳法で成長し、立ち上がって水面に顔を出し

なんとも神々しく咲く大輪の花。

 

澄んだ真水では小さな花しか咲かせることができないと知り、

猛然と力が湧いてきました。

 

苦しくても辛くても悲しくてもそれはそれでいいんだ、

それがドロドロとしていればしているほど成長することができ

水面から顔を出したときには満面の笑顔をたたえることができるんだ。

 

蓮の花が住処のお釈迦様はきっとこれを知っていたんですね。

 

咲き始めた蓮の花の中に、ちらりとお釈迦様が見えたような気がして

満開の菖蒲が見られなくても得をした気分になりました。

 

お釈迦様の宗派さえ知らない私にも微笑んでくれた蓮の花。

思わず手を合わせてから帰る散歩道。